印刷会社に入稿するPDFの準備
商業印刷でデータが差し戻される理由は、少なく予測可能なものばかりです。そのうち3つは後から直せますが、1つは最初から正しくしておく必要があります。
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3 mmの塗り足しが必要な理由
紙は束ねて断裁され、断裁機は完璧ではありません。刃がずれ、紙の束が動き、狙った位置から数分の1ミリずれたところで切れます。デザインがページの端ぴったりで終わっていると、そのずれが一部の部数だけ、片側に細い白い線となって現れます。
塗り足しとは、断裁が必ずその内側に収まるよう、仕上がり線の外まで伸ばしたデザイン部分のことです。 世界のほとんどの地域では3ミリが標準で、5ミリを求める印刷会社もあり、大判の印刷ではさらに多く求められます。余白でも飾りでもなく、断裁工程に必要な許容範囲です。印刷会社が仕上がりより少し大きなページを求めるのはこのためです。
もう1つがトンボです。仕上がり範囲の外側に引かれた細い線で、どこで断裁するかを示します。塗り足しとトンボを後から追加するのは、デザインがもともと十分外側まで伸びていれば有効です。しかし描かれていないデザインを作り出すことはできないため、仕上がりサイズぴったりにレイアウトしたデザインでは、絵柄が広がるのではなく白い塗り足しが付くことになります。
ページサイズの混在は確実に差し戻される
印刷では面付けが行われます。複数のページを1枚の大きな紙に配置して印刷し、折って断裁するのです。この配置はすべてのページが同じサイズであることが前提なので、ページごとにサイズが違う文書はそもそも面付けできません。自動で差し戻される原因として最もよくあるものの1つですが、画面上では見えません。PDFリーダーはサイズの違うページでも平然と順に表示するからです。
たいていは偶然起こります。複数の元データから組み立てた文書や、A4のページの中に1ページだけUS Letterで書き出されたページが混じっている場合などで、数ミリの差なので誰も気づきません。すべてのページを1つの仕上がりサイズに統一すれば解決します。デザインは切り取られるのではなく収まるように縮小されるので、縦横比の違うページも内容はすべて残り、均等な細い余白が付きます。控えめなやり方ですが、誰かのデザインの端を黙って切り落とすよりはましです。
インタラクティブな要素はフラット化する
PDFにはフォーム入力欄、コメント、スタンプ、注釈を含められますが、それを印刷会社が出力するかどうかはまったく予測できません。印刷するところもしないところもあり、その設定は奥深くに隠れています。入力済みの回答が消えた状態で契約書が印刷されるのは、高くつく典型的な失敗で、たいていは1,000部刷った後に発覚します。
フラット化すると、各注釈の見た目がページの内容に焼き付けられ、注釈そのものは削除されます。これで、画面で見えるものが誰にとっても同じに見え、同じに印刷されます。リンクはあえて機能するよう残してあります。目次をただのインクに変えてしまうのは、機能ではなく破壊行為だからです。
1つ注意があります。フラット化はページの内容を書き換えるため、電子署名が無効になります。 これは正しい動作です。まさにそうした変更を検知することが署名の役割だからです。署名済みの文書を印刷に出す場合は、フラット化ではなく印刷会社との相談が必要です。
CMYKとフォント:最初から正しくしておくべきもの
ここは、機能の多さより正直さが大切な部分です。画面はRGB、印刷機はCMYKで、その変換は単純な計算ではありません。印刷機、用紙、インクによって変わり、それは印刷会社が提供するICCプロファイルで記述されます。このプロファイルなしで変換するツールは推測しているだけで、チェックは通るのに間違った色で印刷されるファイルを作ります。これは変換に失敗するツールよりたちが悪いのです。
ですから色の変換は、上流である文書をレイアウトしたソフトか、下流である印刷会社自身のワークフローで行うべきです。ブランドカラー、写真、何かに合わせる必要がある色など、色が重要な仕事なら、書き出す前にInDesign、Affinity Publisher、Scribusでプロファイルを設定してください。Scribusは無料で、PDF/Xを直接書き出せます。
フォントは埋め込まれている必要があり、これも後からは直せません。埋め込みにはフォントファイルが必要ですが、埋め込みに失敗したPDFにはまさにそれが入っていないのです。どこからも作り出すことはできず、似たフォントで代用すると文字の流れが変わります。今世紀にWord、LibreOffice、まともなプリンタードライバーで作られたPDFのほとんどは、自動的にフォントを埋め込んでいます。思い込まずに確認してください。どのPDFリーダーでもフォントの一覧と、それぞれが埋め込まれているかどうかを確認できます。
やってはいけない2つのこと
入稿用のPDFを小さくするために圧縮しないでください。 圧縮すると画像が画面用の解像度で再エンコードされ、画面用の色に変換されます。モニター上では分かりませんが、印刷機にとってはまさに避けたいことです。入稿データが大きいのは、印刷にその解像度が必要だからです。メールで送るには大きすぎるなら、リンクを送りましょう。
PDF/Aなら入稿できると思い込まないでください。 PDF/Aは長期保存用の規格で、50年後も文書がまったく同じように表示されるために存在します。印刷用の規格はPDF/Xで、印刷会社が規格に準拠したファイルを求めるときに指しているのはこちらです。重なる部分はあっても、同じものではありません。
最後に、ファイルを送ってプリフライト(入稿前チェック)を依頼しましょう。 ほとんどの印刷会社は対応してくれ、自社のワークフローが何を求めているかを正確に教えてくれます。上に挙げた4つの問題は、彼らが最初に指摘するはずの4つです。先方の5分間は、刷り直しよりずっと安上がりです。
よくある質問
塗り足しはどれくらい必要ですか?
世界のほとんどの地域では3ミリが標準で、大きな印刷物では5ミリもよく使われます。ただし、印刷会社に確認してください。それは相手の機械の許容範囲だからです。確認するのに費用はかからず、データが差し戻される理由として最も多いのがこれです。
RGBからCMYKへの変換を自分でできますか?
できますが、印刷会社のICCプロファイルがなければ、先方の印刷機、用紙、インクがどう振る舞うかを推測することになります。色が重要なものは、レイアウトソフトでプロファイルを設定するか、印刷会社のワークフローに任せてください。誤った変換は、自分の画面では正しく見え、紙の上では間違って見えます。
画像にはどれくらいの解像度が必要ですか?
写真なら、実際に印刷するサイズで約300 dpiが一般的な目安です。つまり幅100 mmで印刷する画像なら、約1200ピクセルが必要です。線画や文字のスクリーンショットはもっと必要で、600以上が求められることもよくあります。くっきりした輪郭は、連続的な階調よりも早くピクセルの粗さが目立つからです。
PDF/XとPDF/Aは同じものですか?
違います。PDF/Xは印刷用で、指定された印刷条件に基づく色分解が求められます。PDF/Aは長期保存用で、ファイルが自己完結しており、将来も同じように表示されることが求められます。ファイルは一方にも、両方にも、どちらでもないものにもなり得ます。
画面では正しく見えるのに、印刷すると違ってしまうのはなぜですか?
よくある原因は3つです。印刷時に代替されたフォントの欠落、印刷会社のワークフローがこちらとは異なる前提でRGB画像をCMYKに変換したこと、そして先方のソフトによる透明部分の分割・統合の違いです。3つともプリフライトレポートで確認できるので、依頼する価値があります。